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HomebrewやFlashcartに詳しい方にはもはや説明不要レベルのEverdriveシリーズ、念の為簡単に説明すると、往年のカートリッジ系ゲームコンソール向けに作られた、(micro)SDカードに保存したROMデータを読みこませ、実機上で動作させることができるカートリッジのシリーズです。
前々から機会をうかがっていたのですが、2021年のブラックフライデーセールを利用して今回取り寄せました。 私はFCしか持っていないので、FC仕様版です。(NES仕様版も存在します)
販売・サポート関連のページはこちら。
このEverdrive N8 Pro (以下EDN8P)、ゲームROMだけでなく.nsfファイルをメニュー上から直接再生する機能があります。.nsfはFC音源向けの音楽データのフォーマットで、例えばこれに対応した楽曲制作ツールで好きな音楽を作る事ができます。.nsfを作成できるツールの例としては、
・FamiTracker - トラッカー
上から下に流れていく画面で、コマンドと呼ばれる機能を使いながら作ります。
派生・改造版の0CC-FamiTrackerや、
0CCの更に派生・改良のj0CC-FamiTrackerや、
その更に派生・改良のDn-FamiTrackerもあります。
(オリジナルか最新改良版のDn-がいいと思います。)
・nsd.lib - MMLコンパイラ
テキストデータで、楽譜のようなMMLと呼ばれるマクロ文を書いて作ります。
・FamiStudio - ピアノロールシーケンサー
よくあるDAWのような操作性で制作する事ができます。
などがあります。
実機上で.nsfを再生できるカートリッジで他によく知られているものとして、NES用のPowerPakとTNS-HFCシリーズがあります。それぞれを比較すると…
TNS-HFCシリーズ | PowerPak | Everdrive N8 Pro | |
2A03 (on. .nsf Player) | 〇 (本体側内蔵) | 〇 (本体側内蔵) | 〇 (本体側内蔵) |
VRC6 (on .nsf Player) | 〇 (実物使用) | 〇 (FPGA再現) | 〇 (FPGA再現) |
VRC7 (on .nsf Player) | 〇 (実物使用) | × | 〇 (FPGA再現) |
Sunsoft 5B (on .nsf Player) | 〇 (互換(5のみ)/実物使用) | 〇 (FPGA再現) | 〇 (FPGA再現) |
N163 (on .nsf Player) | 〇 (実物使用) | 〇 (FPGA再現) | 〇 (FPGA再現) |
MMC5 (on .nsf Player) | 〇 (実物使用) | × | × |
FDS (on .nsf Player) | 〇 (内臓可(4のみ)/実物使用) | 〇 (FPGA再現) | 〇 (FPGA再現) |
拡張音源の複数同時使用 | △ (可能 - 別途アダプタ必要) | × | × |
になります。
メリット・デメリットで比較すると…
TNS-HFCシリーズ | PowerPak | Everdrive N8 Pro | |
利点 | 全ての拡張音源が使用できる 拡張音源の複数同時使用が可能 FC本体にそのまま挿せる | 拡張音源の実物カートリッジが不要 現在入手可能 | 拡張音源の実物カートリッジが不要 VRC7音源が使用可能 (PowerPak比) FC本体にそのまま挿せる 現在入手可能 |
欠点 | 拡張音源の実物カートリッジが必要 現在生産なし | FC本体では変換アダプタが必須 拡張音源の複数同時使用は不可 | 拡張音源の複数同時使用は不可 |
その他 | 画面出力無し | 画面出力あり | 画面出力あり |
です。
現状入手できるものとしては、EDN8PはFC実機で使うにはかなりいい選択肢だと思います。
拡張音源の複数同時使用ができないのは残念ではありますが…。TNS-HFCでも複数同時使用には別売オプションであるTNS-HFX4や西住殿のような拡張ボードが別途必要で、これらも現在入手難度が高く、実物を挿す必要があり可搬性が犠牲になるなどのデメリットも存在するので、拡張音源一種類の使用であれば、EDN8Pが(FPGA再現ではありますが)最も取り回しが良いといえると思います。
EDN8Pの初期設定でのカートリッジからの拡張音源音量は、概ねそれぞれのオリジナルカートリッジと同程度のようですが、内部に設定画面があり、音量バランスを自由に調整できます。
MMC5を使った.nsfを再生するとフリーズしますが、FDSを使ったものについては該当部分が再生されないだけに留まるようです。(22年01月04日現在) .nsfでのFDS再生も、22年6月11日にリリースされたv2.14にて可能になりました。
また、各拡張音源の再現性もなかなか高い印象(※今の所厳密には比べていません)で、各拡張音源を使用するカートリッジの実物からダンプしたROMを動かしてみた感じでも、極端な違和感を感じるようなことはありませんでした。(Sunsoft 5Bはゲーム中ではチェックできていません)
中でもFM音源であるVRC7を使えるのは大きく、Master EverdriveやMega Everdriveシリーズの上位機種でも改良が進んでいったOPLLコアをベースにしていると思われますが、一度コアを入れ替えた大規模アップデートが過去にあったりなど開発も進んでいるからか、かなり良い感じに鳴ってくれています。
という感じで、.nsfの実機再生環境が欲しいけどTNS-HFCが手に入らない…と嘆いてきた方にとっては、EDN8Pは扱いやすくよい選択肢なのではないでしょうか。自分もこれでようやく.nsfを作って鳴らせるな、という気持ちです。
2022/01/04 初版
2023/01/13 FDSが再生可能になった旨を反映
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