今年買ってよかったもの 2022年版

年の瀬です。twitterに普段はざっと書いたりしていたのですが、せっかく場所があるのと、twitterでは流れていって話題の共有にはなるが記録にはならないな、と感じるところがあったので、ここに書き留めておきます。あとは、長々と書いておくこともできますので、経緯とか詳細とか、思いのままに残しておけるなとも。

分割キーボード (Lily58 Pro カスタム)

正確には買ったものではなくて作ったものなのですが、今年の一番は間違いなくコレだと思います。
Lily58 Proは、メカニカルキースイッチを利用したDIYによるキーボード(自作キーボード)で、左右分割タイプのもののひとつです。
カスタムと名打ちましたが、具体的にはオリジナルにはないPimoroniのトラックボールモジュールを右手側に搭載し、ここでマウスポインタを操作、押し込むとホイールクリックになります(左右クリックはキースイッチ側に用意して使う想定)。トラックボールを搭載する都合で、ホスト側がオリジナル設計の左側から右側へと変更になっているなどといった違いもあります。
キースイッチはKailh Choc v1規格のRed Proと、Sunset Tactileをレイヤーキー用に採用しており、軽快な操作性を実現しています。
ホスト側のPro MicroはUSB Type-Cコネクタの製品を使用しており、非常に扱いやすい上に、同時にmicro-Bコネクタがもげる問題(いわゆるmogemicro)にも悩まされにくいと期待しています。

元々は個人開発で一緒にやっているnpckcの「肩が凝るのを友人に相談したら、分割キーボードを勧められた」という話から始まっています。組み立ては自分がやれるから好きなの選んで大丈夫と遊舎工房の自作キットページを紹介したところ、Lily58 Proを気に入ったようでした。
さっそく遊舎工房からキットとキーキャップを取り寄せ、キースイッチは自分の余りを使って組み立て、渡して…とても気に入ってくれた様子でこちらも嬉しかったです。しかしここで、借りて使った際の肩の楽さから「自分も使いたいな?」と思ってしまいました。
Lily58 Proは基板データが公開されているため、パーツを揃えて組み立て、自分用が完成して、自分用にキーマップも調整して、とてもいいものができたと思えました。この際の基板の余りから、npckc向けの2号機も制作しています(ここまではCherry MX互換スイッチで制作)。
ですが、ここで終わらないのもこの話で…持ち運び用も欲しくないか?という話になり、その際に欲張って「トラックボールが付いたら最高」というアイデアを打ち立ててしまいました。他機種での作例を見つけ出し、自分で図面を描いたマウントボードを追加基板と一緒に発注し、品切れ続きのトラックボールモジュールを何とか手に入れて…どうにか完成。こちらが冒頭の写真の個体になります。 

トラックボール周りのファームウェアの書き方をcrkbdの作例から移植したり、トラックボールがある側がホストである必要がある様子でホストの左右を入れ替えたり、トラックボールのマウントボードを新規に起こしたり…などなど、苦労はいろいろありましたが、とてもいいものになったと感じています。(そのうちカスタム版のデータ類は公開しようかと思っています。)
実際に、この記事はこのキーボードで、マウス操作まですべて完結して書かれています。
今年だけで累計5台のLily58 Proを制作しましたが、組み立ても比較的簡単、かつ小柄で自宅用から持ち運び用まで運用できる、とてもいいキーボードだと感じています。


カメラ関連の色々


コロナ禍も以前のように外出が憚られるレベルでもなくなってきたため、またカメラを持ち出して出歩こうという心境にもなり、手元の機材の整理や更新を行いたいと考えてこれらを導入…したところ、前からあったものをあまり使わなくなってきました。マウント移行したわけでもないのに、それはそれでどうなのだろう…と思うところもありますが、カメラの運用に求める事柄が変わったということだと思っておきます。
概して小型かつ軽量、それでいて性能に妥協のないものを選び、常に持ち運んで苦にならないものを持っていたいと思うようになったと感じています。

Fujifilm X-Pro2 (写真左ボディ)は、この3年ほどで全く出番がなく、今後も持ち出すのが困難なサイズゆえに使う機会が無理ないとなさそうという結論に至ったHasselblad 500C/M一式とCF Planar 80mmを下取りに出して手に入れました。防塵防滴耐低温が一番の決め手ですが、同時にProシリーズにあこがれていた部分も非常に大きいポイントです。先代メイン機はX-E1で、こちらも非常によいカメラなものの色々と性能不足な部分を感じ始めたので、向こう数年は間違いなく使い続けられるようなものとして、X-Pro2を選んでいます。
既に後継のX-Pro3が出ていますが、X-Pro2の中古価格がこなれていたことや、X-Pro3は液晶の可動が追加されて、かつ画像などの確認のために開閉する必要があることを思うと、壊れそうだなあと感じ(実際に日本ではないですが訴訟が始まったそうですね…)て、避けました。後述のNoktonはX-Pro3で使うのが今のところベストともいえるレンズなのですが、ここは耐久性の面を優先することに。

XF27mm F2.8 R WR (写真中)は、実は順番が前後してX-E1メイン機の時期に手に入れていますが、直後にX-Pro2を導入したので、撮影枚数は既にX-Pro2のほうが多いです。
純正レンズ最軽量かつ防塵防滴つき、かつ40mm相当と足を使うと35mmにも50mmにも寄ることができる、非常に扱いやすい画角であることもあり、今一番使っているAFレンズになっています。元々持っているXF35mm F2 R WRもいいのですが、1段暗い程度はX-E1からX-Pro2に乗り換えたお陰で上昇した高感度耐性でカバーできるので、あまり問題になっていないのも嬉しいところです。

Nokton 23mm F1.2 Aspherical (写真左レンズ)は、元々持っているXF23mm F2 R WRをX-Pro2で使用した際に、画質に不満を感じてきたことと、極端に明るいレンズが一本あると夜間撮影が楽という2つのニーズをカバーできることから導入しました。
このレンズはX-Pro3世代以降で使うと電子接点での通信ができるなどの利点がありますが、それがなくともF1.2の明るさと電子補正に頼らない画質はX-Pro2でも存分に享受できます。MFレンズなのは自分にとっては基本的には苦ではないので使用頻度も高く、XF27mmと一緒に持ち歩くことが多いです。

Voigtlander VM-X Close Focus Adapter II (写真右)は、元々は機材整理の折にコシナに修理をお願いしたColor-Skopar 35mm F2.5 P (Lマウント版)を存分に活用するために導入したものでしたが、これ単体がヘリコイドであることを生かし、LマウントのボディキャップにYASHICA Tのレンズを取り付けて撮影する際に主に使うようになりました。そのため、今は実質Carl Zeiss Tessar 35mm F3,5 (F値固定)として使っています。F値はマスキングテープに穴を空けて作ったF4相当のものを固定して使っています。
元々がコンパクトカメラのレンズのため非常に薄くなることと、そのくせ画質を放棄していない点がお気に入りです。小さくてもツァイス銘は伊達じゃないという印象です(年代的にはヤシコン世代のもの)。また、唯一のツァイスの35mmテッサーでもあります。(タイプ、であればElmar 3.5cm F3.5などが該当するようです)
同レンズの京セラTDを自分の両親が使っていたこともあり、自分が撮られたレンズで撮る、という意味でも楽しんでいます(当時の個体は現存するものの、該当機はレンズに強めのカビがあったこともあり、別のジャンクを手配して改造)。このレンズはほとんど作例もないと思われるので、一枚載せておきます。

(X-Pro2 with Carl Zeiss Tessar 35mm F3,5, 1/60, F=4, ISO1250, Provia(カスタム))
高いコントラストと、どこか暖かさもある色乗り、ピント面のシャープさが気に入っています。少なくともAPS-C機で使う分には、周辺光量も問題なく、換算約53mmの標準MFレンズとして活躍しています。宮崎光学さんによるMマウント改造機の製造依頼も視野に入れたいなと考えています。

Rollei 35は、ここに挙げた中で唯一のフィルムカメラです。
記事を書いているのが出先で、今回は持ってきていないので新規の集合写真は撮れなかったのですが、35mmフル判でハーフ判クラスの本体サイズを実現しており、デジタルのサブとしてレンズ一本分程度のスペースで持ち運べてしまう点が大変気に入っています。 数年ぶりに写真に戻ったらフィルムの値上がり具合に驚きましたが、フィルムも時折使っていきたいなとは思っており、気楽にしっかり撮れるボディとして最高のものの一つだと考えています。
お作法が色々あったり、目測ファインダーだったりはしますが、近接でぼかすよりは絞り気味でのスナップが元々多かった自分には、この仕様でもある程度妥協している点はあれど、困りまではしていなかったりはします。
こちらは前述のXF27mmと同画角の40mmのTessarレンズ。実はRollei 35が使いやすくてXF27mmを、Tessarの写りが気に入ってYASHICA Tのレンズを、という流れがあったので、非常に罪深い一台でもあります。

 

Analogue Pocket

Analogue Pocketは、FPGAによる回路シミュレーションを利用した、GB/GBC/GBA互換機(アダプタによる拡張でGG、Lynxなどにも対応)です。
GB/GBC/GBA代替機として自分はほぼ文句なしといった感じです。手元のFlashcartの大半が正常に動作しない点など、問題がないわけではありませんが、出音と操作のレスポンスがしっかりしている点で、LSDjを使う面ではこれでも大丈夫ではないかなと感じています。実機の継続性はいろいろと思うところがあったのですが、これやこの類のハードが製造されていくのであれば、安心してもいいのかなと思えました。
ユーザーによるOpenFPGAコアの開発も盛んで、12月のオンラインライブの最後にはMDコアを利用して自作のMD音源楽曲を演奏させたりしました。


来年はこれらの機材を引き続き使い込む感じで、あまり新規導入はしないかな…と考えていたりはしますが、そううまくいくものだろうかと思うところもなくはなかったり…X-Pro4は出るんじゃないかと思ってますが、どんな仕様になるんでしょうね。

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