今年は年末に書いている買ってよかったものシリーズだけになりかねなかったところだったのですが、書き残すとよさそうなネタが出てきたので。
FocusriteのSaffire 6 USBという、現行のScarlettシリーズの前身にあたるUSB-オーディオ/MIDIインターフェースがあります。2in4outなので、Scarlett 2i4の前身といえるでしょうか。
経緯は省きますが、現在のデスクトップ機のI/FはRME Multiface (初代)が接続されていて、基本的にはFireface UCと似た機能を持っているのですが…実はマイクプリが無く、全chがラインです。ADAT接続しているMOTU 828mkIIにもマイクプリはあるにはあるものの、そつなくこなすけど面白味(?)は…という気持ちで別途導入も考えていたのですが、あれ、割と程度のいいやつ、ついてるじゃん。ってここで気づきまして。
Saffire 6 USBは外観や時期から、恐らくSaffire ProというFirewire接続のインターフェースをベースにしているようです。マイクプリに定評があるFocusrite製品らしく、世間の評判も良かった記憶があります。
ただ、Proシリーズでは単体でマイクプリとして動作する事がサポートされている(ドライバからルーティングを設定して記憶させて…みたいな操作は要るらしい)ものの、この6 USBはUSB接続をしないと何もできません。困った。
と思いながら調べてみると、6 USBを改造して単体マイクプリとして動作させる記事を書いている方を発見。
https://www.jnick.de/projects/001-focusrite-saffire6-mod.html
今回はこちらを参考に、手元の個体を単体マイクプリにしていきます。
元々持っていたし、工具も揃っているので元手もかからないようなものなので、壊れてもいいかなって気持ちで。
※以下の手順を試した事で、何らかの損害や不都合が生じたとしても、当方は一切責任を負いません 。
まずはガイド通りに蓋を開けて、基板を確認…
そして電源部周辺にある空きパターンの存在を確認。
ここの空きパターンのPin8に相当する箇所と、ほど近くにあるトランジスタ(TR2)のPin3をジャンパ。
これで完了です。
詳細を確認してはいませんが、元サイト内の解説と、よくある設計を鑑みると、ICのピン配列のこの位置は電源で、このトランジスタに来ている電源をこのラインに供給すると、USBのON/OFFを検知してオーディオ信号の入出力を有効にするICの動作を騙して…もしくは強制的に供給するように接続して、電源が入ると常時入出力系が有効になるようにしていると考えられます。
電源ラインの接続経路を足しているだけらしいので、元記事曰くUSBホストに接続すれば通常通り動作するらしいです(未確認)。
完了したら、適当なダイナミックマイクを繋いで、USB-ACアダプタで電源供給。Multifaceに出力を繋ぎ、動作確認。
マイクの信号をDAWで受け取れました。単体マイクプリなので、このままライン出力信号としてミキサーに入れてPAへ…みたいなこともやろうと思えばできますね。
ファンタム電源に加えてHi-Z入力もあり、使えそうなシーンは色々ありそうです。
ツマミ類はMixerをInput側(左)、Monitorを最大(右)へ、それぞれ振り切っておきましょう。
Mixerの逆側はPlayback(=PC出力音量)のため、単体動作時は意味がありません。Monitor音量は最大にしておけば、純粋にマイクプリのボリュームだけで音量をコントロールできます。
こちらのSaffire 6 USBは、2012年(12年前!)に買ったはじめてのインターフェースでした。
出音は悪くなかったこともあって結構長く使っていて、Rave It Loudぐらいまではこれで制作・録音しています。2016年頃に後述の理由で古いけど枯れているUA-4FXに交代したものの、音質面ではさすがに優位だったため2018年に再登板。その後2019年にSteinberg
UR22mkIIに置き換えるまで使用していました。
その後はなんやかんやあって会社の自席でしばらく運用したりしたような気がしますが、自宅の大掃除を気に留置していた社屋から自宅に持って帰ってきました。(掃除してるのに…?)
この機種は当時のドライバがかなり不安定で、スリープ後に復帰しないのがデフォといった様相だったり、併用していたLinuxで少なくとも当時うまく動作しなかったり、といったこともあって使わなくなったのですが、先の再登板時はUSBのデータ線を切断できるスイッチボックスを作るという荒業でリセットして使っていました。(電源を抜き差しするとポップノイズが出るので、データ線だけ。)
今はScarlettシリーズと共通のドライバセットでサポートされているようなので、マシになっていたりするのかな…?
といった経緯でしまわれてもう出て来ない(実際、売却するつもりで持って帰って来た)はずだったこの機種ですが、自身の機転と他者の知見のお陰で、気軽に使えてそこそこ良いマイクプリとして、余生を送っていきそうです。
電解コンデンサはそこまでしっかりしたグレードのものでもなさそうだったので、ここをアップグレードしてみるのも楽しいかもしれませんね。
コメント
コメントを投稿