今年買ってよかったもの 2023年版

Roland αJUNO-2 (Alpha JUNO-2, JU-2)をレストアした - 前書き:私とαJUNO


(本当はレストア完了記念にあっさりとやったことを書くつもりだったのですが、書き始めたら前書きだけでとても長いものになったので、やった事はまた別の記事に分離します。)
→というわけで次回を書いたので、レストア内容はこちらから。

「何か自分にとってのフェイバリットたりえるシンセが欲しい!」と考えた時、脳裏に浮かんだのはαJUNO(とTR-909 - こちらはNAVAを組み上げました)でした。何でαJUNOかといえば、やっぱりHooverに代表される極端な出音を実現する珍しいDCO波形とエンベロープで、他に代えがたい部分があるなあと前々から思っていたのでした。
この独特といってよいであろう機能と同様のことができるシンセはそこまで多くなく、ソフトシンセまで広げてもやはり少ない。にもかかわらず自分の音楽のバックグラウンドとして非常に大きいOldskool Hardcore RaveやTechno音楽への影響は計り知れない(その割には日本だとマニアしか知らない感じがするけど)という点が、その想いの中心でした。
また、先代のJUNO-106はもう最低予算10万円台といった様相で簡単に手が出せませんし、何より106のVCF/VCAチップは非常に故障が多いというのも判断の根拠になりました。代わりに操作系は非常に扱いづらいですが…そうして、2021年の8月に、αJUNO-1(1台目)をヤフオク経由で入手するに至ります。

 

ただこのαJUNO-1(1台目)、シェルが少々割れていたり、鍵盤が傷だらけだったり、筐体内部に赤サビが出ていたり…と、色々と状態がよくありませんでした。
このαJUNO-1を色々と手を掛けてレストアするつもりでいた矢先、近場のハードオフに突然見た事無かったにも関わらず立て続けに…しかも今所有している個体より明らかにコンディションがいいし、価格も大して高くない…若干悩んだ後、αJUNO-1(2台目)を抱えて店を後にしました。

 

さて、2台目はほぼノーメンテで快適に動作してしまい、特にやる事がなく、1台目の方はレストア待機の分解状態のまま放置される(鍵盤タイプ突き止めて別機種のジャンクから確保済みだったんですけどね…)ことに…2台目で色々と楽しんだりサンプリングしておいたりして、益々αJUNOが気に入ってきた所に、今度はまた別の近場のハードオフにMKS-50を発見します。早い話がαJUNOのラック版です。ちょっと高いな…という感じだった事もあり、その日は存在を認識して店を後にしましたが、また別の日に行ってみると残っている。また別の日も…そうして、ついにある日に自転車のカゴにどうにか積み込んで店を後にしました。

 

日頃DAWに繋いだmicroKEYで音を出している自分の場合、ケーブル類を集約できるラックに入ったMKS-50は取り回しがよく、αJUNO-1(2台目)を差し置いてこちらをメインに触るようになっていきました。全パッチがユーザーメモリなのも特徴で(鍵盤付きの方では半分がROM)、音源部のみで小柄なこともあってオーバーホールも簡単だったりなど、色々とメリットがありました。自分はMKS-50であがりだな、と思っていたはずでした。

 

ある日、ヤフオクにαJUNO-2の状態不明瞭なジャンク品が格安で出ているのを偶然見かけました。αJUNO-2はαJUNO-1の上位、といっても音源部は基本的に同一で、鍵盤数が増えつつベロシティおよびアフタータッチ対応になったというものでした。αJUNO-1、MKS-50ときたら、そこまで大きくない出費で手に入るし、αJUNO-2も体験しておこう。その程度の考えでαJUNO-2を入手しました。(置き場所は「なんとかなるでしょ」と押し切りました)

 

手元に届いて、触ってみた瞬間に「これはαJUNO-1との違いが聞いていたより大きいぞ?」 と分かりました。あまりインターネットでも語られていない部分もあり、いい機会なので少し書いておきます。
・2は61鍵盤。1は49鍵盤。
・2はベロシティおよびアフタータッチに対応。1はベロシティ固定(確か64)。
・2の鍵盤には錘が入っている。1には無い。
・2は上部フレームのうち、サイドパネルにあたる部分はプラスチックだが、フロントからリアにかけてのフレームのメイン部分が金属製。1は上部フレームが一体成型のプラスチック。
・基板の構成が一部異なっている。2はメイン部とコーラス部が別の基板だが、1はメイン部とコーラス部を同じ基板上に載せている。
と、思い出せる範囲でもこれぐらい違いがありました。特に錘入り鍵盤の思いのほかのタッチの良さと、筐体の大部分が金属製で1よりも明らかに剛性のある構造が大変気に入りました。(代わりに、重量が大きく増えていますけどね…)

 

ただ、このαJUNO-2は状態不明瞭の品。届いた時点で明らかに分かる不具合があったのでした。
・DCOのうち、明らかに発音していない系統がある。(のちの調査で、VCF/VCAチップが2系統故障と確定)
・ピッチベンダーがおかしく、特に左方向に曲げた後に戻らない事がある。
・LCDのバックライトが故障しており、インバーターが鳴いている。
・ボリュームスライダーに部分的に引っかかりを感じる。
ざっとこの辺りがおかしいと分かりました。特に、DCOの発音ができていない箇所が驚きで、インターネットを探しても発音不具合の症例はあまりなく、それ故にαJUNOはJUNO-106より壊れにくいと言われている事もあり、こっちも壊れる事はあるのだなと思いました。

 

しかし、ここまでの経緯で自分はαJUNO-2をかなり気に入っており、ボディ剛性の良さもあって、αJUNO-1よりも長持ちしそうだなという見立ても感じていました。こうなるとこのαJUNO-2を修理しないという手もありません。
特に再入手が困難であるカスタムチップで実装されているVCF/VCAチップは、前述の通り分解状態で放置していたαJUNO-1(1台目)をドナーとすることを決め、その他の部品も調達の上で、不満点の解消も含めた大掛かりなレストアを行ったのでした。

23/06/30 初版
23/07/01 誤字を修正
23/07/03 記事内に次回記事へのリンクを追加

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